ところで、この大掃除とは具体的にどういった定義が設けられているかご存知でしょうか?
一般的な概念としては、12月28日前後の年末に、通常行う掃除よりも遥かに大掛かりな掃除を行うことを、大掃除と呼んでいます。
この大掃除には、単純に住民が気持ちよく新年を過ごせるようにするというだけでなく、歳神を迎えるための準備という意味合いもあるそうです。
一種の儀式のようなものといえるかもしれません。
また、学校で夏休み、冬休み、春休みに入る前に行う掃除もこういった呼ばれ方をすることがあります。
当分学校が休みになるため、通常よりも大掛かりな掃除を行いますが、これも大掃除と呼ばれることがありますね。
大掃除というのは、簡単に言えば年末や休み前に行う大掛かりな掃除ということになります。
これを行うことで、とてもすっきりした気分、次のステージに立てるのです。
大掃除の起源となったのは、「煤(すす)払い」と呼ばれる日本古来の年中行事だと言われています。
これも、意味としては大掃除とまったく同じでした。
ただ、時期としては少し違い、12月13日に行う事が通例だったようです。
これには理由があり、徒弟奉公などによって里を離れている人々が、新年に間に合うように里帰りの時間を考慮しての事と言われています。
当時は一般人の移動手段は徒歩だった為、こういった配慮が必要だったのです。
これが、徐々に交通機関が発達し、里帰りが数日、あるいは数時間でできる時代になってきたことで、大掃除は年末28日前後に行うということで固まったのでしょう。
大掃除の起源である煤払いは今でも寺社仏閣などの一部の場所では行われています。
やる事は大掃除なのですが、呼び方として「煤払い」を用いているようです。
江戸時代ごろの煤払いは、商家において特に名物的なものとなっていたようで、煤払いが終わると見境なく胴上げを行っていたそうです。
一種のお祭りのような雰囲気があったのかもしれません。
現代の大掃除に通じる風習として、掃除を行わない老人、子供、あるいは病人に関しては、掃除の邪魔にならないように外出するか掃除を行わない部屋に退避していたそうです。
埃を吸い込まない為の配慮もあったでしょう。
これは現代における大掃除でも同じですね。
今と昔の大掃除の意義の違いは、儀式的か否かという点に尽きるでしょう。
昔は大掃除=神聖な儀式でした。
それは、大掃除というのは単に自分たちの住居をきれいにするという概念だけでなく、神様をお迎えするという大事な意味合いを持っていたからです。
新年の安泰、特に五穀豊穣を神様に願い、農作物がよく取れるように神様に祈る為に、家中にある煤を払い、場を清めるというのが、大掃除の起源の「煤払い」の意義だったのです。
そのため、大掃除に使用される掃除道具は神聖な物として扱われていたそうです。
今ではちょっと考えられない価値観ですよね。
今でこそ、そういった儀式的な風習は影を潜めていますが、一部地域であったり、宗教であったり、あるいは風水的なものであったりを起因とし、その昔の考えを保っている家は多数あります。
大掃除が神様への身だしなみという概念が、意義として残っているわけです。
そこで、ここからは大掃除のコツについてご紹介していきます。
大掃除のコツをしっかり学ぶことで、年末期間内にしっかりした掃除をすることができ、さわやかに新年を迎えることができるでしょう。
まず、最初に行うべき行動は、掃除道具の確保です。
掃除は、手ぶらではできません。
当然掃除する為の道具が必要となります。
その道具も、掃除する場所によって変わってくるということがあるでしょうが、基本的にはどの過程においても必要な掃除道具というのは一致しているものです。
特別な掃除道具が必要な部屋や施設がある家でない限りは、まず道具をそろえるところから始めるのが良いでしょう。
それによって、具体的な計画を練ることができます。
一般的なものとして、まず掃除機は欠かせません。
当然どの家庭にもある物かと思いますが、中には一間のアパートなどで必要としていない、という一人暮らしの家もあるかもしれません。
その場合は、家の中で使用できるほうきなどを用意してください。
次に雑巾ですね。
雑巾は普段の掃除ではあまり使わない家庭もあるかもしれません。
しかし、大掃除では雑巾を大量に使用します。
家に一つか二つしかないという場合は、新たに用意する必要があるでしょう。
次に、モップです。
これに関しては、必ず要るというわけではありませんが、手の届きにくい場所を拭き掃除する為にはあったほうがいいでしょう。
特に、狭い冷蔵庫の裏、たんすの裏などを拭き掃除する場合や、天井、たんすの上などを拭く場合に重宝します。
はたきやほうきなど、昔使われていた掃除道具は、今でも有効です。
掃除機では取れないような狭い場所の汚れ、あるいは玄関や庭先などのごみを集める際に、これらの道具は重宝します。
お風呂やトイレを洗う際の取って付きのブラシやスポンジも、新調しておくことをお勧めします。
一年使うとかなり汚くなっているので、大掃除の機会に買い換えるといいでしょう。
さらには、洗剤も重要です。
各場所に使用する洗剤をしっかり買い揃えておかないと、途中で掃除が停滞してしまいます。
こういった掃除というのはいったん止まると再起動が難しいので、あらかじめ完璧に用意しておくことをお勧めします。
とはいえ、雑巾に関しては100円ショップで購入可能です。
雑巾も格安で入手できるので、糸代を考えると、自分で作るのと買うのとでそれ程差がないというのが現状です。
雑巾は消耗品なので、決して上等とはいえない100円ショップの商品でも問題ないでしょう。
100円ショップで入手可能な掃除道具は、雑巾に限りません。
というより、ほとんどの大掃除に必要な道具は100円ショップで入手可能なのです。
ほうきにしても、コンパクトなサイズのものから大きなものまで揃っています。
モップにしても、作りはとてもシンプルで壊れやすいとはいえ、100円で購入できるのであれば、年に1度使用するのみという家庭にはありがたい事ですよね。
大掃除を行うにあたり、100円ショップは欠かせないお店です。
ただ一つ、知っておきたい事があります。
100円ショップで売っている洗剤は、量は多く値段も安いので重宝しがちですが、実際にはかなり薄い洗剤で、あまりコストパフォーマンスがよくなかったりします。
通常の洗剤の半分以下の効力しかないというケースも珍しくありません。
量が多いから得のように見えますが、実際には有名メーカーの洗剤を特売日に買うほうが余程お得です。
大掃除を控えた年末には、薬局やスーパーなども頻繁にのぞいてみると良いでしょう。
プランを立てるにあたり、まず決めておかなくてはならないのが、大掃除決行の日取りです。
それを決めなければ、誰に手伝ってもらうかということ以前に、その人とのスケジュール調整ができません。
「何月何日何曜日の何時から何時まで行う」というのをしっかり決めておきましょう。
一般的には12月28日ですが、その日にちに手伝って欲しい人が空いていない場合はずらしても構いません。
というか、家族だけでできないという状況でお手伝いを要請する場合は、28日以外が良いでしょう。
その人も自分の家の大掃除があるでしょうから。
日取りが決まったら、次は誰に手伝ってもらうか、あるいはその必要がないかの選択です。
中学生以上の男の子がいる家庭なら、父親と子供で大抵の家具は移動可能です。
他の人の手を借りずともできるでしょう。
ただ、まだ子供がいない家庭や女系家族で男手がないといったご家庭の場合は、やはり男手を借りた方が良いでしょう。
大掃除の日取り、使う道具、人手が決まったら、当日の作業について計画を練りましょう。
できれば実行する人全員で話し合った方が良いです。
もちろん当日でも構いません。
ただ、結構時間がかかる事もある作業なので、決起集会というわけではないですが、前日に集まって話し合った方が良いかもしれません。
計画として考える事は、誰がどの役割を担うか。
つまり、役割分担が第一という事になります。
当然男性は力仕事が中心になります。
家具の移動、粗大ゴミの収集などですね。
この大掃除の機会に家具を買い換えるなどという場合は、車を出せる人がいれば出し、搬入の際の手伝いをすると良いでしょう。
女性の場合は、拭き掃除、掃き掃除がメインですね。
特に台所やトイレなどは念入りに磨きたい場所なので、普段から使用している人が担当すると良いでしょう。
一番良いのは、各自自分の部屋に関しては、事前にやっておくという事です。
大掃除の時にまとめて、というケースが多いようですが、それだと一日で終わらない可能性が高くなります。
各自が自分の部屋をあらかじめしっかり掃除しておけば、大掃除の日には他の部屋に集中できます。
そうする事で、時間的な負担が減り、一日で終わらせる事もできるでしょう。
それでも一日では無理という場合は、力仕事が必要な掃除、そうでない掃除をまず分けます。
そして、人手が必要な掃除に関しては一日でまとめ、残りは他の日にするという計画が好ましいでしょう。
そうすればスケジュールも確保しやすく、計画表もまとめやすいのではないでしょうか。
また、奥さんがこまめに掃除をできる人であれば、数日に分けて大掃除を行ってもそれ程問題はありません。
先述した力仕事以外の、台所やお風呂などの掃除に関しては、集中して一日でそこだけをやる、といった感じで1週間位に分けてやると、綺麗に掃除ができるでしょう。
掃除が好きな人が家庭に一人いれば、こちらの方が効率的です。
ただ、窓拭きなどは一人だとなかなか一日で終われないのが現状です。
その点なども考慮した上で、計画表を作ってみましょう。
掃除道具は、できる限り一箇所にまとめておきましょう。
どこにどれを置いたかわからない状態だと、当日になって混乱を起こす可能性があります。
一日で終われなくなってしまう事になりかねません。
大掃除に使う道具はかなり多く、集めるとかさばってしまうので、居間にまとめて置いておくと良いでしょう。
道具をまとめておく事で、次の作業には何が必要かという場合に、ひとつにまとめておくと効率よく作業を進めることができます。
ただし、草むしり用の軍手や鎌、竹箒などといった庭や玄関で使うものに関しては、庭にまとめておく方が良いでしょう。
特に鎌など子供が触れると危険な道具に関しては、しっかり管理しておく事が必要になります。
はさみ、鎌、くわなどに関しては、刃の部分を布か何かでくるんでおく事をお勧めします。
大掃除では、こういった道具も必要となってきますが、それで怪我をしたという例は毎年必ず発生します。
それも、結構な件数です。
子供がいる家庭では、極力そういった道具を使わないか、安全を確保しておく為に布で巻いて高い所においておくなどの対処をしておきましょう。
キッチンの大掃除で掃除する場所といえば、まず冷蔵庫です。
冷蔵庫内は、普段手入れする事はあっても、本格的に整理したり吹き掃除したりすることはないかと思います。
大掃除においては、中の整理がメインとなるでしょう。
冷蔵庫を大掃除する際には、冷蔵庫の電源を切っておくことをお勧めします。
節約であると同時に、故障の可能性を減らすこともできます。
電源を切った後、まず冷蔵庫、冷凍庫内の物をすべて外に出してしまいましょう。
順序としては、冷凍庫の整理と整理を優先します。
冷凍庫に入れている冷凍食品などが溶けてしまわないよう、手早い作業が必要となります。
とはいえ、冬場なので、そこまで焦る必要はありません。
冷凍庫の整理が終わると、次は冷蔵庫内の整理です。
棚を外せるタイプならば、すべて外しましょう。
その後、台所洗剤を使って吹き掃除を行います。
まず洗剤をつけた布などで拭き、その後でカラ拭きします。
必ず洗剤を完璧に落とすことが重要です。
拭き掃除が終わったら、棚を戻し、電源を入れ、中に物を戻し、整理して終わりです。
大掃除で電子レンジをしっかり掃除するためには、まず暖めるものを載せる皿など、取り外せるものはすべて外します。
そして、中性洗剤をつけた布でくまなく拭き掃除を行いましょう。
奥の手が届きにくい箇所なども、しっかり拭いておかないと、汚れがたまり、不潔なレンジになってしまいます。
洗剤をしっかり拭き取ることも忘れないようにしましょう。
掃除が終わったら、カラ拭きをし、取り外した部品を元に戻します。
もちろん、部品それぞれもしっかり拭いておきましょう。
冷蔵庫にもいえることですが、大掃除で電子機器を掃除する場合、必ず電源を抜いておきましょう。
炊飯器などの小さな道具の場合は、コンセントを抜く事が習慣付いていますが、レンジや冷蔵庫はなかなかその習慣がないので、つい電源を入れたまま掃除しがちです。
危険なので、大掃除のときは必ず抜いておくことを強くお勧めします。
ガスレンジ、ガスコンロの大掃除の際に最初に注意すべき点は、金たわしなどの硬い物を使用しないことです。
フライパンなどもそうですが、最近の台所用品はフッ素加工の物が増えています。
ガスレンジの表面も、フッ素加工の物がかなり多いようです。
このフッ素加工は、金たわしなどの硬い物でこするとはがれてしまうのです
せっかくのフッ素加工が台無しになり、寿命が縮まってしまいます。
必ず、やわらかいスポンジで掃除するように心がけましょう。
力の入れすぎも厳禁です。
ガスコンロ、ガスレンジの掃除は、表面のこげを取る作業から始まります。
こげをしっかり取るためには、強くこすらなくてはならないという意識が働きがちですが、ここでもそれは厳禁です。
竹串などがあれば、それで削ぎ落としましょう。
割り箸でもいいですね。
こげをおとし終えたら、次は雑巾で拭いていきます。
酸性の強い洗剤か、酢と水を同率で混ぜた物をしみこませて拭き掃除をすると良いでしょう。
酢は匂いがきついので、注意が必要です。
キッチン周りを掃除する上で、とにかく重要なのは「やさしく丁寧に」です。
ゴシゴシこするだけが掃除ではありません。
時間をかけてゆっくり掃除するのが一番望ましいでしょう。
悪臭の元は、大体決まっています。
最初にチェックするのは三角コーナーですね。
当然、日ごろから掃除している場所ではありますが、どうしても日常での掃除は甘くなりがちです。
露骨な悪臭がしなくても、少し臭うということはあるでしょう。
念入りに掃除する必要があります。
三角コーナーは安価で購入できるので、この機会に買い換えるのもありですが、その必要もない場合は塩素系漂白剤を入れたボールなどに一時間ほど漬けておきましょう。
次に、換気扇の掃除です。
換気扇も悪臭の元になりやすいところです。
もし換気扇自体がとても汚れている場合、換気扇を回した途端に悪臭が漂います。
かなりきつい状況ですから、ここも念入りにキレイにしましょう。
換気扇は油汚れがほとんどなので、油汚れに強い洗剤を使用して拭き掃除を行います。
取り外せるなら取り外して掃除したほうが確実です。
羽の根元までしっかり拭き取りましょう。
これが終わると、次にはいよいよ排水パイプです。
ここが一番の臭いの元凶となるケースが多いですね。
中まで手を入れて掃除することができないので、専門のワイヤーブラシとパイプ用の洗剤を購入し、ゴシゴシこすっていきましょう。
蛇口の裏側を掃除する場合は、ストッキングを使用すると良いといわれています。
ストッキングにクリームクレンザーなどの合成洗剤と水を付け、蛇口の裏側を擦ります。
これが、かなり効果が高いようです。
というのも、ストッキングというのは弾性が高く、摩擦力も高いので、こする力が強くなるのです。
また、伸び縮みするので細い場所でも入り込ませる事ができます。
もちろん素材自体はやわらかいので、傷を付ける事もないでしょう。
何かの裏側を掃除する上で、非常に役に立ちます。
大掃除の際は、雑巾代わりに安いストッキングを買っておくと良いでしょう。
また、ワックス代わりに酢やレモンを使用してみるのも良いでしょう。
蛇口をピカピカにするには、強い酸性のものが有効です。
となると、洗剤よりはレモンなどの方が効果的です。
もちろん殺菌作用は洗剤が圧倒的に上なので、洗剤でこすった上で、レモン汁を含ませた布で拭くなどすると良いでしょう。
蛇口の回りも掃除が必要です。
水道水の水垢にはカルシウムも含まれているので、酸性の洗剤で洗うと良いでしょう。
鉄分が含まれている場合は茶色いシミになっているので、そこはお湯と還元系漂白剤が有効です。